今回はこちらから
先日、とあるきっかけで遺伝子疾患からの障がいを持たれている方の話しを聞きました。
見たものの位置や距離がわからないとか、立体的にものを見るのが苦手とか、騒音に人一倍弱いとか。
聞きながら症例についても検索していたのですが、こういうことが遺伝子疾患で起こることってあるんだなあ と思っていました。
テクノロジーで対応できないものか
さて、このような話しを聞いていると、わたしはそれはテクノロジーで解決・緩和することはできないものなのかと考えてしまいます。
たとえば弱視・全盲であればAndroidのTalkbackとか、iPhoneのVoiceover、OrCam MyEyeなどの機器やSeeing AIなどのアプリがありますし、聴覚障がいについてもスマートフォンのアクセシビリティ機能があります。
ただ、今回聞いたような症例については支援を行えるアプリがあるかどうか というと、これというものが結局見つからなかった。
たとえば騒音ならデジタル耳せんとか、空間の認識についてはマップアプリのナビ機能を使うとか、個別に「使ってみたら効果があるんじゃないか?」と思われるようなソリューションはあります。
ただ、これもまたあくまで健常者向けのツールであり、今回のような障がいを持っている方が使えるのかどうかというと、そのような情報は見かけない。
視覚障がい、聴覚障がいのようなある意味人口の多い障がいについてはツールも情報も多いので第三者からも提案しやすいのですが、今回のような症例が多くない障がいについては、なかなかお勧めしづらいものがありますね。
障がいに関するテクノロジー活用事例・記事は、思ったよりも多くない?
今回はイベントの最中だったということもありそこまでしっかりとは調べられませんでしたが、案外障がいに関して、テクノロジーをこう使えばよいとか、テクノロジーでこんなことができるみたいな情報は、それほどにはないんだな と思いました。
それは、今回のような障がいを持っていて、かつテクノロジーを活用している という人自体が多くない・その人にテクノロジーを紹介する人がそもそもいない などといった問題があるようには思います。
ただ、その分野を開拓する余地は、あるのではないか?障がいについてテクノロジーができることは、もっとあるのではないか?と、今回話しを聞いていて思いました。
そしてそのためには、そういう障がいを持つ人と関わる場所にもっと、IT技術者がいることが必要だろうなあ と。
アクセシビリティは障がい者のためのものだけではない
テクノロジーに関しては最近、アクセシビリティというものが話題に上がることが増えています。見やすい色使い、音声でも読み上げやすい構成、いろいろなアクセシビリティに関する指針が打ち出されています。
ただここで重要なのは、アクセシビリティはなにも障がいを持つ人のためだけのものじゃないということ。
たとえばわたしは外出時、風景を見たり、バスの停車駅を見落とさないようにと、スマートフォンの音声読み上げでウェブ記事を読んでいることもありました。
もちろん怪我などで一時的に身体の機能が一部なくなることもあるかと思いますが、そのようなことがなくても、一見健常者が使う機会がないと思われがちなアクセシビリティ機能も、案外健常者が使っても有用だったりする。
ただし、現状のアクセシビリティ機能はWebサイトなどのマークアップに依存するので、たとえば読み上げ用のラベルが書かれていない広告や、適切に区切られてない段落などで、読み上げの品質はがくっと低下してしまう。それはやっぱりユーザーが少ないせいなのかなあ などと思うことも多々ありました。
だからこそ、多くの人が日常的にアクセシビリティ機能を使っていけば、アクセシビリティ機能を取り巻く状況も変わっていくんじゃないかなあ と思っています。