高見知英のかいはつにっし(β)

高見知英のアプリケーション開発日誌 のほか、地域活動などの活動報告ブログ。

DXとは技術知識を与えるだけでなく習慣を変えること

f:id:TakamiChie:20211112154904p:plain 今日はこちらから。

stand.fm

最近SBCast.の収録・編集や様々な地域コミュニティイベント参加をしていて、つくづく「スキルを持っている」ということと「ツールを活用できる」ということは別物だな と感じます。

たとえばZoomは使えても、必要に応じてテキストチャットが使えなかったり、通信不良のときにうまく対応できなかったり。SlackやTeamsも、使えるけどそこで相談すべきことを相談できなかったり、ちゃんと伝わる書き方ができなかったりとか。

ツール自体を使うスキルは持っていても、そのツールを自分の感覚を拡張するためのツールとして使うことはできない という人は、結構いるなと感じます。

スキルと活用

ITツールを使うということ。

パソコンやスマートフォンを使って情報を発信したり、テキストで連絡を取り合ったりすること。

これは今に始まった話しではなく、10年以上も前から行なわれてきました。

仕事でそれらのツールに触れて、活用している という人はとても増えた はずなのに、未だにテキストの連絡がうまくできていなかったり、言うべきことを言えないという人が、自分の身の回りだけ見ても結構いる。

別にその人達にツールを使うための知識がないわけではない。別にSlackやTeamsに必要な情報を書き込んだり、必要に応じてほかのメンバーにリプライを飛ばしたり。そのような基本的な使い方は普通にできる。

でも、活用ができない。そこに書き込むべきことを書き込めず、書き込めたとしても重要な部分が抜け落ちていたり、誤解を生むような表現になってしまったり。

適切なタイミングでツールを使う、適切なツールの活用を行なう

適切なタイミングでツールを使ったり、それを使って他人と繋がったりすること。ITツールとのほどよい距離感を持つこと。

個人的にはそれが活用だと思っています。

そんな活用ができてこそ、最近言われるデジタルトランスフォーメーション(DX)になるのではないか。

DXとは技術知識を得ることじゃなく、それを得て、その上で活動の習慣ごと変えることなんじゃないかと、最近思っています。

IT or without IT?

とくに最近いろいろな活動を見ていると、それぞれの活動分野について「ITを使うか、全く使わないか」の二択で考えている人が多いような気がしています。

たとえば先日ポッドキャストで、農業ボランティアをしている人が、こんなことを言っていました。

「最近はパソコンやスマホを使ってインターネットでいろいろやるのが流行りだと思うけど、わたしたちは実際にこうやって土をいじっているから」

ITをうまく土いじりに溶け込ませる という選択肢が、そこにはなかった。

ITを全く使わず、今までどおりの、アナログなやりかたしかできないと思い込んでいるのではないか と感じたことがあります。

でも実際は、そんなことはなく、イベントの告知にFacebookなどを使ったり、作業風景を動画で撮影して資料にしたりと、いままでのアナログなやりかたをのこしつつも、デジタルなものをそこに溶け込ませる ということはできる。

地域コミュニティを見ていると、そういうアナログなことをしながらも、デジタルもうまく取り入れるということをしている人は少ないな と感じます。

それは逆も然りかも?

実際それは、逆も然りかもしれません。IT技術者は、すべてをオンライン上で、すべてを自作のプログラムで解決しようとしてしまいがち。

たとえば先日ポッドキャストの配信でこんな話がありました。

Twitterの感想を拾い上げるのがむずかしい。IFTTTでやっているが上手くいかなかった。ツールを自作するか」

わたしはそれと同じことをPower Automateでやっていたのでそれを伝えると、「自分で作ることしか考えになかった」と言う。

いかに手間がかからず効率の良い方法をとるかではなく、ときどきいかに自分が楽しいかだけで考えてしまいがちなのではないか?

もちろんそれが目的になっているのであればそれでいい。

でも、目的でもないのに効率より自分が楽な方をとってしまう。それは地域コミュニティの人たちに限らないのかもしれません。

プログラミング以外でも、「怠惰は美徳」?

プログラミングでは、「怠惰は美徳」という言葉があります。

「こういう作業は面倒くさいな」とか「こういうことを毎回やるのは面倒だな」とかいったことを考え未来をサボるためにいま全力を尽くす

これはプログラミングのきっかけになり得る考え方だと、わたしは思います。

ひょっとしたらこの考え方は、プログラミングに限らず必要かもしれない。

とても面倒な作業をしていて「どうにかして効率化できないか」と考えてみること、あるいはそれを周りの人に相談してみること。

そういうところからはじめないと、プログラミング含め、ITの利活用ははじまりません。

未来をサボるためにいま全力を尽くすという考え方が、意外と地域コミュニティにはないのではないか。そんなことを感じます。

どうやって人を変えていくのか

それではどうやって、そういう考え方を他人に広めていくのか、ITとそれ以外を上手く使い分ける考え方を身につけてもらうのか。少しでも未来をサボるためにいま全力を尽くす考え方を持ってもらうのか。

正直なところ、わたしにはよくわかりません。

ただ、そのような考え方を持っている人がそばにいること、そのような人の活動を目の当たりにすることが、人を変えるきっかけになり得るのではないか と、最近感じています。

たとえば0000Studioとか、stand.fmとか、LINE LIVEとか。

いろんなところ、いままでプログラマがあまりいなかったところで*1、無駄かもしれないけどなにか発信していくこと。

それが、そのような考え方を多くの人に広めていく一つの方法なのではないかなあ と思っています。

そのためにも、自分はまちづくりエージェント SIDE BEACH CITY.内外のいろいろなところで、こうやって活動を公開発信していくことをやっていくのが重要なのかなと思っています。

*1:もちろん0000Studioやstand.fmにもプログラマの方がいらっしゃるのは知っているのですが…。Twitterなどに比べると割合的には少ないのかな と