高見知英のかいはつにっし(β)

高見知英のアプリケーション開発日誌 のほか、地域活動などの活動報告ブログ。

はじめてのMicrosoft 365 Teamsが発売されました

表題の通りですが、わたしが書いた、はじめてのMicrosoft 365 Teamsという本が発売されました。

はじめてのMicrosoft 365 Teams (BASIC MASTER SERIES)

はじめてのMicrosoft 365 Teams (BASIC MASTER SERIES)

この本は秀和システムのシリーズの一つ、はじめてシリーズのひとつで、Microsoft Teamsの使い方について、基本機能の操作方法を一通り解説した本です。

Microsoft 365 Businessで使用できるほうの(無償版ではない)Teamsを使って基本的な使い方の説明、ビデオ会議や予定表の使い方、スマートフォンでのアクセスについてなどを説明しています。

まあ、内容的にはそんなに詳細な解説でもないので、すでにTeamsを使いこなしているような人には今更な部分も多いと思いますが、はじめてTeamsを使ってみよう と思っている人のとっかかりにもなれば と。

変わりゆくソフトウェアと、相性が悪いやりかた

とはいえ、Teamsをすでに使ってる人ならおわかりの通りですが、Microsoft Teamsというのは非常に変化の激しいソフトでして、ここ最近だけでもビデオ会議の開始ボタンの位置が変わったり、ビデオ会議画面の画面構成がごっそり変わったりと、画面構成や操作方法が変わった部分も少なくない。

パワーユーザーにとっては吸収可能なレベルの画面構成の変化ですが、この本を手に取るような人には果たして、このような変化は受け入れられるものであろうか・・・ という気はします。

そんなのはTeamsに限った話しではない

そんなものはTeamsに限った話しではなく、どんなソフトだってそう。

画面構成がかわったり、今まであったはずのボタンがなくなったり、キャプションが変わったり、サブメニューが追加されたり。

PCアプリやWebサービスのUIは常に、「その程度の差異を自分で吸収できて当たり前の人たち」によって作られてきました。

だからこそ、アプリUIの変遷はいくらでも起こる。アプリ公開後もさまざまな要望や時代の変化に晒される今のアプリではしょうがないことではありますが、その時代にこのような説明の仕方は、果たして正しいのかどうか。

結局今回は「そんなことを気にしだしたらキリがないし、とにかくアップデートが掛かる前に、自分の中の迷いが大きくなる前に書き上げよう」ということでパパッと書いてしまったのですが、このような本は今後どうなっていくんだろうなあ とはちょっと悩んでしまいますね。

新しい時代のソフトウェア・開発関係書籍のあり方

ちょうど現在は、例年パシフィコ横浜で開催されていた図書館総合展が、完全オンラインで開催されているところ。今の時代のソフトウェアや、開発関係書籍はどうあるべきなんだろう?と考えてしまいます。

2020.libraryfair.jp

ちょっと前、SBCast.のゲストとして、こちらのイベントでも出展されている格闘系司書さんともお話をしました。

sbc.yokohama

結局今の情報の変遷の早さには、図書がおいつくことはできない。

実際どんなに自信を持って書いたとしても、著者の手から離れて、出版のゴーサインが出るまで、最低でも1,2ヶ月。その間に情報が古くなってしまう可能性が高く、運良くそこで古くならなくても、半年も情報が保たないのが情報技術というもの。

仮に電子媒体となってアップデートが容易になったとしても、じゃあいつ誰が情報をアップデートするのか、アップデートに関する費用は誰が負担するのか、と、それなりに問題はあります(実際、うちも電子書籍で出た本はありますが、原則出版後の改定はしていません)。

そのような時代に、書籍で情報技術を教えるとはどういうことか、書籍に書いても早々古くならない情報技術の伝え方とは何か というのは、常々考えていることではあります。

今回はそのような情報技術の伝え方はできないものか と考えていた結果、大幅に締め切りをオーバーし、関係各所には多大なご迷惑をおかけしました。

技術書籍がこの先生きのこるには

技術書というのは最近、どんどん書きづらくなっているんじゃないかなあ などと思います。

技術書の寿命は短い。だからこそ、著者に入る印税も少ない。そうなると、誰も彼もやる気をなくしてしまう。

それはほとんどの技術書作家が兼業だからというのもあるかもしれません。兼業だからそこで儲からなくても、本業で十分食べていける。実際今までの本も、当初わたしのところでもちょうどなくなりはじめていた、本業のボーナスの代わり程度の認識でしかありませんでした。

技術情報を発信する場所は残っていくだろう けれど。

もちろん技術書典みたいに、自分(たち)の意志で編集し、気軽に出版できるプラットフォームに情報は残っていくかもしれません。

でも、商業誌はそうならない。すると、「わざわざ商業誌で出すより同人誌やブログで出した方が・・・」という話になってしまう。正直このへんはわたしもとても危惧しています。

図書館をきっかけにプログラミングやその他情報技術・その仕組みを学ぶという道は、今後も残ってくれるとうれしい。ブログやQiitaなどの技術情報ではカバーしきれない分野を、書籍は保っていて欲しい とは思います。ただ、それをするには、わたしたち著者も、編集者も、出版社も、変わっていかないといけないんだろうなあ と思います。

まあ、そんなこんなを考えてたから筆が遅くなり編集の方にご迷惑をおかけしたのですが*1

*1:だから迷わないように原稿ははやめに書いた方がいいですね