高見知英のかいはつにっし(β)

高見知英のアプリケーション開発日誌 のほか、地域活動などの活動報告ブログ。

まちづくりにIT技術者が関わる理由

とうとうこの季節がやってきました。このブログはまちづくり Advent Calendar 2019 - Adventarの1日目のブログです。現時点でアドベントカレンダーの登録がわたしだけなので、もしまちづくりに興味のある方他にいらっしゃいいましたら、是非アドベントカレンダーにもご参加ください。

さて。先日中の人に誘われて、以下のイベントで喋ってきました。

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スピーチ自体振り返ってみるとちょっと久々で、2ヶ月ぶり(外部の勉強会だけに絞ったら、3ヶ月ぶり)のスピーチ。

今回はなんらかの地域活動をされている方がほとんどということで、まちづくりエージェント SIDE BEACH CITY.の活動内容について、概要をお話ししました。

資料はいつも通りSpeakerDeckに公開していますので、ご覧ください。

speakerdeck.com

当日の音声とあわせた動画も公開しています。日付が24日になっているのは気にしない。

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ここまでのITリテラシー差がない環境で活動している方も多かったようで、わたしの話しにおどろいた という方もいらっしゃいました。

IT技術者が地域に関わる理由

さて本題。

IT技術者が地域に関わる理由には、他のジャンルとはまたすこし違う理由があると思っています。

  • 自分たちの居場所を確保するため
  • IT技術に対する認識が、地域から失われないようにするため
  • IT技術者が不利な地域を作らないようにするため
  • 必要な時に、相手にもそれらツールを使ってもらえるようにするため
  • 地域にあるまちがったITツールの使い方を正すため

ITというのは、他のジャンルとはちょっと違うものがあると思っています。放っておくと使わない人にはとことん使われず、普及しない。

だからこそ、他のコミュニティと違って、自分たちが「あえて普及させる」必要がある。

自分たちの立ち位置をしっかり確保するためにも、IT技術者が地域に関わる必要があるのではないかと。

「ちょっと興味がある」という人のハードルが高い

資料中にも書きましたが、近くにIT技術者がいないというのは、ちょっと興味がある人が成長するのに必要はコストが高い ということにもなります。

横浜はたしかに東京も近いので、まあまあ興味がある人は電車で東京の勉強会に行くこともできる。

しかし、「電車で県を跨いで移動する」ことの心理的な障壁は思った以上に強い。

もちろん一度動いてしまったらどうと言うことはないのですが、その段階で「やっぱりいいや」「(行くのは)あきらめよう」になってしまうことのなんと多いことか。

そうなると、せっかく芽生えたITに対する興味がしぼんでしまう。

そのかすかな興味が成長できるような可能性を作るためにも、IT技術者が街に関わることが必要 だと思います。

「相手がIT機器を使う」のは、相手にとってよいだけではなく、「自分にとってよいこと」

地域の方がITツールを使うこと というのは、決して地域の方の為だけではありません。なによりも自分たちIT技術者にとって良いことだと思っています。

それは、「普段と同じ方法でコンタクトが取れるようになる」から。

たとえば地域の方々だと、未だに電話とSMS以外の連絡手段を知らない という方は珍しくありません。

個人的にはシステム通知や二段階認証通知に混ざってしまうし、そもそも送り返すのにお金がかかるので使いたくないのですが、それでもそれしか連絡手段がない という人はけっこういる。

相手がスマートフォンを持ってくれる、最低限の使い方を理解してくれる それだけで、LINEなどでの連絡ができるようになる。Facebookで状況が知れるようになる。

チームメンバーとして共同作業するときは、メーリングリストやSlack、Microsoft Teamsなど、他の業務に使っているのと同じようなツールを使えるようになる。

技術を教えるのは、相手のためではないんです。自分のためなんです。

そもそもわたしは、自分のためになることしかやらない

こういう活動をしていて、本心について語らないのはフェアではないと思うので、わたしは最近口にするようにしているのですが、基本的にわたしは自分のことしか考えていません。

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地域へのIT普及に力を入れてるのは、そうしないと自分の話せる場がないから、自分の仕事ができないから。

地域の人がITツールを活用してくれないと、いつもと同じツールで連絡が取れないから必要以上に連絡のコストがかかるし、IT関連のニーズが生まれないから仕事につながらない。

そしてなにより、ITができる人が他にいないから、作業分担ができず、自分の提案を全部自分でやるしかなくなる。

IT業界ではよく「属人化はよくない」と言う言葉がありますし、わたしもよくないとは思っているのですが、属人化せざるを得ないのです。

だって他の人はプログラムを書くことはもちろん、未知の実行ファイルを実行することすらしないのだから。

ITは「万人が一切関わらなければいけないわけではない」ものだから。

ITは、衣食住などの基本的な日常生活に関わったり、子育て中や身体に不自由があるなどの分かりやすい課題に直結するものではない*1だけに、関わらない人はとことん関わらない。

「万人が一切関わらなければいけないわけではない」からこそ、関心を持たない人はとことん関心を持たない。

今の子どもたちならともかく、大人は一生ITにかかわらずに一生を終えるということだってあるわけです*2

もちろんこのブログを読むような人にとってはITは「なくてはならないもの」という方も少なくないと思いますが、未だにそうでもない という人は少なくないのです。

すくなくともふらっとステーション・とつかなどで会う人の半分くらいはそうでした*3

だからこそ、なんらかの関わりは持ってもらいたい。

少なくとも、ちょっと興味があるならば関われるような場所にITコミュニティがある そんな状況にしないといけないな と感じています。

ITツールを使えない人をゼロに。

以前わたしは、横浜の/Bangarrowというコワーキングスペースで行われたエストニアの視察レポートを聞きました。

blog.onpu-tamago.net

エストニアでは、様々な試みもあり「ITができない人は絶滅危惧種」とまでいわれてきつつあるようです*4

ただ、わたしもせめて、盛った発言でもそれくらいは言えるようにしたい。少なくともまちづくりエージェント SIDE BEACH CITY.としては、そのくらいのつもりで行動したい。

もちろん実際に万人にIT知識を持ってもらうのは難しいし、本当に現状以上のツールが必要ない という人もいる。

とはいえ、誰かしらとつながる可能性があるのなら、つながりたいと思っているのなら、その人にはITツールに関する知識は必須の知識だと思うのです。

そのための仕組み作りや、イベント開催など、まちづくりエージェント SIDE BEACH CITY.内外でやっていきたい と、わたしは思っています。

日本全国は難しくても、少なくとも横浜市内で、ITのことを話せなくて孤立する人が一人でも減るように。そういう人たちと一人でも繋がれるように。

*1:もちろんTalkbackなどのアクセシビリティツール活用など、関わるところはたくさんあるのですが、入り口で躓いている人にとってはそれすら目に見えてこないのです

*2:とはいっても40代以下はさすがに関わるだろう と思いきや、たまにITツールをなにも知らないような話しを子育て真っ最中のお母さんから聞いたりするので…

*3:スマートフォンどころか携帯電話すら持ってない という人も、珍しくないくらいです

*4:誰の視点だかは分からないし、相当に盛った発言でもあるかもしれませんが