高見知英のかいはつにっし(β)

高見知英のアプリケーション開発日誌 のほか、地域活動などの活動報告ブログ。

エストニア視察報告レポートイベントに参加してきました

先日9月3日(火)は、横浜駅東口側にあるコワーキングスペース、/Bangarrowで行われたイベント「エストニア視察報告レポート イノベーションのヒントがここにある」に参加してきました。

www.facebook.com

今回のイベントは表題の通り、コワーキングスペース/Bangarrowのメンバーが最近IT関係の取り組みで評判のエストニアに行ってきたので、その視察報告のオープンイベント。

わたしも常々まちづくりエージェントSIDE BEACH CITY.の内外でITの普及に向けた活動を行っているため、活動に関するなんらかのヒントが得られないか?と思い参加。

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エストニア視察報告レポート

実際活動のヒントというほどのものは得られなかったものの、自分の考えを補強する根拠が得られたので、まあ、無駄ではなかったのかな と。

エストニアの今

エストニアの今については今更あまり説明するほどでもないですが、行政のほぼすべてのサービスがインターネットで行える、「IT先進国」といわれる国。

(いちおうマイナンバーもお手本にしているらしい)電子身分証明書や、すべての整合性がきちんととれた電子カルテなど、ちゃんとした行政サービスの電子化が行われている国です。

最近日本からの視察も多いようで、ときどきネットニュースなどでも名前を見かけますね(まあ、その視察の仕方があまりにもよくないようで、エストニアの人からはあまりよい印象を受けていないようですが)。

www.businessinsider.jp

エストニアがIT先進国と言われるようになった理由

…というと、実はそれほどのことはなく。

「それしかなかったからITを選び、整備しているうちに、IT先進国と呼ばれるようになった」という、ある意味「ま、それはそうですよね」というものでした。

  • 当時紙が貴重だったためペーパーレスを推進せざるを得なかった
  • ソ連解体などのトラブルで、政府以外が政治に関わらざるを得なかった

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紙がない→電子化

など「ほかに道がなく、存続の危機にさらされたから変わっていった」という感じ。

「それしか活路がなかったから」を上回る学習動機はない という、わたしの最近の考えそのままの結論でした。やはり、国レベルでもそこまでしないと変わらないんだなー と思うと同時に、そこそこ不便じゃない日本ではどうしようもないじゃないか ということに。

なんだかんだ「不便じゃない」日本

最近いろいろな「パソコンやスマートフォンを全く使えない」人と話していて「許容しがたい不便さ」や「命の危険レベルの問題」を感じないと、人ってなかなか変わらないな と思っています。

日本は、なんだかんだそれほど不便ではない。

公共交通機関もそこそこに発達しているし、なによりかなり定刻通りに運行している。もちろんそうでないところだってありますが、全国的にはそこまで不便じゃない。

だからわざわざデジタル機器を使ってまで不便を解消しよう という気が起こらない。

そういうのが、いまだにデジタル機器を使わない人の考えなのかな と、最近思っています。

成功を目指すより、失敗を怖がるという風潮もそう。現状がそこそこ安定しているので、失敗したり、そうでなくても環境が変わるというリスクを犯してまでもっといいステージに行こう という気持ちになれない人が多い。そんな感じがしています*1

実際、消滅可能性都市に挙げられるとか、目に見えて人口が減っているとか、バスがないと移動もままならない程度に交通の便が悪いとか、そこまでの課題がある地域や自治体は、それはそれで活発に動いています。でも、そこまで感じる地域が少ないからこその現状なのかな ということを、最近思います。

日本に「エストニアのエッセンス」を取り込むには?

今回のレポートを聞いて、わたしは「日本に、地域にエストニアのエッセンスを取り込むにはどうすればいいだろうか」と考えていました。

地域の「ITを全く使えない人たち」を「多少は使えるようにする」のに、エストニアであったことを応用できないか と。

ただ、それはそうかんたんにはいかないな ということがわかりました。

もちろん今すぐデジタル以外の行政サービスを廃止するとか、そういった極端な方法もあるかもしれません。

でも、そうじゃなく、それなりにみんな納得感のあるやり方はないのかな、そうしないと、まちづくりエージェントSIDE BEACH CITY.の目的の一つである「ITをもっと多くの人が活用できるまち」は、できないのだろうなあと、思っています。

そのやり方は、今後のまちづくりエージェントSIDE BEACH CITY.の活動の中で見いだしていくしかないのかなぁ。

そんなことを話を聞きながら考えていました。

もっと地域の人がITを使えるまちを

いつもわたしはイベントで話しているのですが、ITツールって、自分たちが使えていればいいかというと、そうではありません。

たとえば地域の情報発信をしたいというときには、それらイベントの情報を持っている人が、ちゃんとデジタルな形式で、インターネットからアクセスできる場所に、データを公開する必要がある。

でも、地域コミュニティだと、そんな(自分たちにとっては当たり前でも)難しいことはできないという人が多かったりする。

未だにわたしが関わってるふらっとステーション・とつかなどで、ふらっと内のライブな情報があまりあがらないのもそれが理由*2TwitterFacebookになにか記事を投稿する ということすら、できないという人がたくさんいます。

あまりにITツールの利用スキルに差がありすぎると、共同作業すらできなくなってしまう というのを日々実感しています。

だからといって無視するわけにもいかない地域

いつもわたしが紹介しているものに、次のようなデータがあります。

u-site.jp

テクノロジーを十分に扱える人は、日本のおおよそ8%、対して、全く使えない人は、およそ40%。

そんな状況でその人たちを無視することは、さすがにできない。わたしはまちづくりエージェントSIDE BEACH CITY.で、そのために活動しています。

今回のイベントでは、「やはり日本にもなんらかの汎用的な必要性が必要(ただしそれがなんなのかはわからないしヒントもなかった)」という形でしたが、なんとか考えてみないとなあ と。メンバー的な問題もあり、なかなか動きが取れていませんが、なんとかしないといけないなあ と思っています。

いつもどおりではありますが、もしこの記事を読まれて興味を持たれた方、まちづくりエージェント SIDE BEACH CITY.はいつでも参画者をお待ちしておりますので、お気軽にわたしやまちづくりエージェント SIDE BEACH CITY.のメンバーまでご連絡ください。

また、もしイベントに参加してみようという人は、直近ならSBC://6もありますし。

sidebeachcity.connpass.com

*1:もちろん成功したほうがメリットはあるし、デジタル機器を使う利便性は現時点でも割とはっきりしています。でも日本人がみんなそれに飛びつくような人たちだったら、日本はとっくのとうにエストニアになっていると思うのです

*2:現在アップロードされている情報は、わたしが内部で作られている情報誌から抜き出したものと、それを適宜投稿しているものだけ