高見知英のかいはつにっし(β)

高見知英のアプリケーション開発日誌 のほか、地域活動などの活動報告ブログ。

95%の世界

このブログでもときどき言及していますが、わたしはふらっとステーション・とつかで、「ふらっとパソコン道場」と題してパソコン・スマートフォンの万お悩み相談の受付を行っています。基本的には年齢制限など一切設けていないのですが、場所が場所なだけに70代以上の参加が多いです(ときどき30代後半~60代の人も来ますが、非常に稀)。

内容としては、スマートフォンやパソコンの基本的な使い方、LINEなど特定アプリの利用方法、インターネットサービスに関する大まかな疑問について。ほとんどの方には、相談対象となるスマートフォンやパソコンを持ってきてもらっての相談受付となります*1

さて、おととい6月17日(土)も、ふらっとパソコン道場の相談受付を行いました。今回はAndroidスマートフォンの相談が多かったですね。SIMフリー端末の相談もあったのですが、ご本人あまり詳しく内容は分かっていないようで、なぜこの端末を持つに至ったんだろう と疑問に思いました*2

とても躓きやすい点:アプリの画面遷移について

ふらっとパソコン道場に相談に来る方で多いのが、アプリ内外の画面遷移についての基本的な疑問。流れを全く理解できていないため、ちょっと前と違う画面遷移の流れが出てくると、途端に迷う というケース。

とくに、今回相談の多かったAndroidには、戻るボタンとホームボタンという、二つの「前表示していた画面に戻る」ボタンがあります。

そして、ホームボタンを押してホーム画面に戻ったとき、次にそのアプリを表示しようとして表示されるのは、原則アプリのスタート画面ではなく、ホームボタンを押した直前に開いていた画面となります*3

そのため、型どおりに使い方を覚えると、「前使ったときと違う画面遷移になる」ということで、途端に迷子になってしまう。

とくに、ふらっとパソコン道場に相談に来られる方のほとんどは、この画面遷移の仕組みや、アプリ同士の関連性について全く理解ができていないため、ここで全くわからなくなってとまってしまう と言う方が非常に多いです。

どうしてこうなるまで放っておいたのか

最近パソコン道場で相談を受け付けていると、IT技術者はなぜここまで、わからない人を放っておいたのか という気がします。もうちょっと早く、こういう「まったくわからない人」に手を差し伸べる方法はなかったのかなと。

以前このブログでも取り上げましたが、パソコンやスマートフォンを満足に使える人は、どの国でも大抵5~8%程度 というレポートがあったそうです。

u-site.jp

この、5~8%以外の人々――のこりの92~95%の人達をここまで放っておいて、IT技術者はなにをやっていたんだろう、どこへいこうというのだろう パソコン道場のこの状況を見ていると、このような感情を抱きます。

もはやこの溝は、埋められるのか?

もちろん、ここまで全く様子がわからない人 ばかりではないと思います。自分の使うアプリの範囲内なら全く問題なく使える という人も、簡単なものなら新しいアプリも難なく使える という人もいるとは思います。しかし、そのような人と自分たち5~8%の人の間にある溝は、とても深いな と思います。

これは、果たして放っておいても良いものなのだろうか、誰かが埋めなければいけない溝ではないだろうか?このままこの溝を放っておくと、そのうち取り返しのつかないことになるのではないか。パソコン道場でまったく右も左もわからないという人と話をしていると、、そのような不安に駆られます。

コンピューターの基本的利用センスがないと、結果的に困るのは自分たち

こちらも過去に言及したことですが、コンピューターの基本的な利用方法を、利用方法を全く知らない人に教えないと、最終的に困ることになるのは、自分たちコンピューターの利用知識がある人のほう だと思っています。

それは、共同作業をやることになったときに、コンピューター利用については相手に合わせないといけなくなるからです。ブログサービスであっても、LINEのようなインターネット通話・通信サービスであっても、共同作業をするに当たっては最低限、関わる人全てにそれに対する最低限の知識が必要になります。

たとえばインターネットブラウザを開いて文字を入力するとか、新着メッセージを読むとか、写真掲載の方法やその際の注意点とか。そのような基礎知識が関わる人全員にない場合、結局そのツールを存分に使うことができない。LINEやSkypeで事足りる確認が、いちいち電話しなければいけなかったり、直接会わなければいけなくなったり。ブログを更新できる人が限られてしまい、その人に負荷が集中してしまったりといった問題が起こります。

だから、ここまで溝が開いてしまうと、お互いの共同作業や、交流すらできなくなってしまう。もちろんそれでもいいという人は沢山いるんでしょうが。

これ以上溝が深くなる前にどうにかしなければ

だからこそ、これ以上溝が深くなる前に、なんとかして溝を小さくするための努力をしなければいけないのではないか。少しでもコンピューターの基本的な利用知識、考え方を広めるために、自分たちは何かしなければいけないのではないか。

今回のパソコン道場をとおして、そう感じました。

*1:ごく稀なケースとしては、家のネットワーク設備についてや、プリンタとの接続について。説明書を持ってきて「これとPCが繋がらないんだけど」という相談もあります

*2:大方子どもさんが持たせたのだと思いますが、なぜこのような選択をしたのだろう?電話アプリとIP電話アプリの使い分けで苦戦されていたようです

*3:この辺の動作は、iOSでも同じですね