高見知英のかいはつにっし(β)

高見知英のアプリケーション開発日誌 のほか、地域活動などの活動報告ブログ。

ケータイキャリアの現状について思うこと

このブログ記事は、ケータイ・スマートフォン Advent Calendar 2017 - Adventar13日目の記事です。

今回は、どちらかというと前回書いたらくらくスマートフォンについての話の続き。

blog.onpu-tamago.net

ときどきTwitterなどではぼやいていますが、わたしはふらっとステーション・とつかにて、月2回、ふらっとパソコン道場と題して、パソコンやスマートフォンのお悩み相談を受け付けています。

相談対応の内容は基本的に何でもあり。基本的な使い方の説明や、アカウント忘れの対応、ネットショッピング他Webサービスの使い方など様々。パソコン道場と銘打ってはいますが、基本的にパソコンでもスマートフォンでもタブレットでも、WindowsでもAndroidでもiOSでも(いちおうmacOSも)なんでも対応しています。

上の記事を書いた直後、ふらっとパソコン道場にらくらくスマートフォンを持ってきた方がいまして・・・。今回はその話。

らくらくスマートフォンの功罪

らくらくスマートフォンの何が良いのか、何が悪いのかは、前回の記事に書いたとおり。

「誰にも質問できないし誰ともスマートフォンの話題を共有することはない」という人ならば問題ないものの、その独自すぎる使い勝手から他人のアドバイスやネットの情報をその通りに読み込むことができなくなるため、「他人とスマートフォンについて話すことがある人であれば、お勧めできない」というものです。
実際そこまでお話しすると結構わかってくれますし、実際今回の方もわかってくれていたのですが・・・。

ある程度高齢な方がケータイを選ぶ場合、重要になるのは子どもの存在。いくらご本人に説明しても、子どもさん的には「これなららくらくらしいから使えるだろう、(親が不安がっていても)昔より使い勝手は向上しているらしいから問題ないだろう」となってしまうのです。で、結局買うことになってしまった と。

携帯電話ショップの店員さんもそうです。実際にそのスマートフォンを使い、どのような使い勝手のものなのか、どういうメリットがあって、代わりにどういうデメリットがあるのか、すべてを熟知している人がいないため、どうしてもメーカーやキャリアの宣伝文句に従った説明になってしまう。結果、本人が明確に「NO」といえる場合でない限り、らくらくスマートフォンを選ばされてしまう。

実際、若い人でもそうですよね。例えば新しいPCを買うとき、あたらしい家電を買うとき。明確にこれは「NO」といえる情報を持ってからでないと、ついつい店舗にお勧めされたものを買ってしまう。それがより濃縮された状態が、高齢者向けのスマートフォン選びの場に起こっているのだな と思いました。

そもそもケータイキャリアは、今のAndroidをどう思っているのか。

それ以外にも、ケータイキャリアが販売するスマートフォンには、明らかにプリインアプリと競合するようなアプリも少なくありません。

ドコモであれば、地図アプリ(ドコモ)とGoogleマップ(Google)とか、しゃべってコンシェル(ドコモ)と、Googleアシスタント(Google)、またアプリとして表示されないものではありますが、電話帳のドコモアカウント保存とGoogleアカウント保存。性能やできること、データの保存先など、細かなところを見るとかなり違いはするのですが、入り口としてはどちらも同じ。しかも、どちらも同じような手順で使用できてしまうため、より混乱を招くように思います。わかってれば「どちらを使う」という選択は可能なのでしょうが、そもそもそういうのがわからない人が使うはずのスマートフォンに、両方が入っている というのは、さすがに憎い。

昔「ユーザーに今までと同じような使い勝手を」ということで提供したとかインタビュー記事で読んだ記憶がありますが、そもそもスマートフォンに移行するのに同じような使い勝手を持たせることに意味があるのか?そこまでして同じような使い勝手を求めるならガラホの方がいいんじゃないか・・・(まあ、当時はガラホがなかったので仕方がなかったのかもしれませんが)。

Androidにはそもそもそれなりに使えるアプリが詰まっている。その上に、(同じようなアプリを含めて)沢山のアプリを詰め込む。結果的に今までキャリアのサービスを使ってきた人には全く問題ないとは思いますが、スマートフォンではじめてケータイの通話とメール以外の機能に目を向けた人や、自分で好きなサービスを取捨選択して使うような人には、果たして本当にそれで良いのか と言う気がします。

まあ、「全ては囲い込みのため」といえばまあ、その通りなのかもしれませんが・・・。囲い込みのため というのと、お客さんのため というのと、どのくらいのバランスで考えているのか 一度確認をしてみたいところではあります。

スマートフォンは、ある程度「利用者の成長を見込んだ端末」である

そもそもがスマートフォンというのは、ある程度「利用者がそれを使って、成長することを見越した端末である」と思っています。だからこそ画面表示に説明的なものは少ないし、面倒くさい確認表示なんかも最小限です。その代わりアイコンや文字色などで意味合いを強調していて、ある程度「なんとなく」でどんなアプリも使えるようになるようになっている。

だからこそ、ケータイキャリアが昔から推し進めていた、必要以上に丁寧で、とにかく安全・安心なほうに倒した画面構成とは相性が悪い。そんな環境でケータイキャリアはスマートフォンをどうしたいのか。

それでも、ユーザーに寄り添うことを第一に、逆に言えばユーザーから成長の機会を奪ってしまう仕組み作りを推し進めていくつもりなのか、それともいつか、ユーザーが自分で学習できる環境ができるなにかを別に考えているのか。

今回らくらくスマートフォンを実際に見せてもらって、使い方を説明していて、そのようなことをあらためて思いました。