高見知英のかいはつにっし(β)

高見知英のアプリケーション開発日誌 のほか、地域活動などの活動報告ブログ。

らくらくスマートフォンは、どこが「らくらく」なのか

このブログ記事は、ケータイ・スマートフォン Advent Calendar 2017 - Adventar6日目の記事です。

今回の内容は、スマートフォンについて。最近のスマートフォンには、「らくらくスマートフォン」というものがあります。これはドコモのモデルですが、似たような物がauソフトバンクからも販売されています。

自分はてっきりらくらくスマートフォンとBASIOは似て非なるカテゴリのものだと思っていたのですが、auで「なんからくらくで使えるような物を・・・」と言ったらこれをお勧めされたと知人が言っていましたので、どうも同じカテゴリのものだとおもっていいらしい。

で、他の端末とはどう違うのか。

見た目の特徴としては

ドコモ:らくらくスマートフォン

  • 誤タッチを防ぐ仕組みを搭載(長押しタッチをしないとタッチと認識しない/デフォルトオン・設定でオフ可能)
  • フィーチャーフォン風の10キー 文字入力機能を搭載。変更不可
  • 電話やメールなどの良く使う機能を中心にした独自の縦スクロールホームを搭載
  • ホームボタンのみ物理キーを搭載。戻るキーと履歴キーは必要に応じてソフトキーとして表示
  • Google Playを非搭載。ドコモサービスから特別認可されたアプリのみを配信(最近のバージョンはGoogle Play対応したようです。ただし設定で非表示にすることも出来るとのこと)。
  • ホーム画面からサポートダイアルに電話でき、スマートフォンの不明点についていつでも質問できる とのこと
  • らくらくスマートフォンシリーズ機種が多く、キャリア内では一番歴史の古いらくらくスマートフォン

au:BASIO

  • 電話とメール・ホームボタンを物理キーとして保持(戻るキーと履歴キー、そしておまけの虫眼鏡キーはソフトキーとして表示される)。なお、電話やメールの着信があるとボタンのLEDが点灯するらしい
  • 文字サイズ設定の初期値が「最大」になっている
  • インストールされているアプリの一覧がならぶ独自のホーム画面(変更できるかどうかは不明/BASIOは横スクロール、BASIO2は縦スクロール)
  • BASIO2のみ、カメラに昔のサイバーショット風のカバーが搭載されており、開くと自動起動。シャッターボタンでカメラ撮影可能
  • Google Play搭載
  • 55歳以上の人がBASIOを購入した場合、独自の料金プランに加入可能

ソフトバンク:シンプルスマホ

  • 見た目はBASIOと同じ(?)
  • なお、高齢者が買おうが何しようが割引は一切なし

という感じのようです。

逆に言うと、それ以外はそのまんま

逆に言うとそれ以外はまるでそのままです*1スマートフォンの基本操作で覚えなければいけないことは変わらないし、Webサイトを見るときに気をつけるべきことは変わらない。むしろらくらくスマートフォンの独自の画面構成のせいで、サイトに書かれている「〇〇ボタンを押して先に進んでください」などのようなガイダンスがその通りに読めなくなるし、他人からも助言ができなくなるので初心者には向いていない とも言えます。

パソコンやスマートフォンは「インターネットを見るための車やバイクのようなもの」である

ところでわたしは、最近パソコンやスマートフォンを車やバイクに例えています*2。インターネットの街を移動するための車やバイクのようなもの。

「らくらく車」や「らくらくバイク」が存在しないように、らくらくスマートフォンも真の意味では存在しない。あくまで「ブレーキアシストがついていてブレーキが効きやすい」とか、「ハンドルグリップの質が良く握りやすい」とか、その程度の違いのみ。走る道も、覚えるべきルールも、何も変わらない。

とくに最近のらくらくスマートフォンは、Google Playストアにアクセスできてしまう ということは、そこから先はらくらくスマートフォンらしさがなにひとつない、他と同じインターネット空間が広がっているわけで。

ドコモの販売員さんが「Googleアカウントがなくてもお使いいただけます」とは言っていましたが、んなわきゃないでしょうね。Youtubeなども初期の頃はもちろん見られるでしょうが、やがてアプリのバージョンが古くなれば見られなくなります*3。そしてバージョンアップはGoogle Playにアクセスする必要があり、Google PlayにアクセスするならGoogleアカウントが必要で 以下略。Googleアカウント追加不要を謳うならそもそもGoogleアプリなど入れないで欲しかった。

どこが「違う」のかを理解する

らくらくスマートフォン(ないしそのカテゴリのスマートフォン)を使う人は、どこが「他のスマートフォンと違う」のかを理解する必要がある。「何かわからないときに人に聞いたりWebを見たり本を読んだりする」場合なら特に、他人や文章の説明を適宜読み替える力が必要になってしまう。それはスマートフォンについては右も左もわからない そんな状態の初心者には簡単なことではありません。

初心者には何だかんだ言って、「多少とっつきづらいところがあったとしても、周辺にユーザーの多い機種」を使っておくのが一番安全なのです。たとえばiPhoneとか、Windows PCとかですね。

だからこそ、「困ったときに頼れる人は(他のスマートフォンとの差異をしっかり理解している*4 )ショップの店員さん以外誰一人おらず、親戚にも質問できない。また、インターネットを使ったりすることも電話とメール以外のものを使うことなどもない」という人であればらくらくスマートフォンもありなのですが、そんな人そもそもらくらくスマートフォンを買う必要ないですよね。

(古い機種が壊れたとか修理期間満了とかで)どうしても機種変更しないといけないのなら、フィーチャーフォン風の折りたたみケータイ(いわゆるガラホ)を買えばいいわけで。

らくらくスマートフォンが違うのは「入り口」だけである

結局、らくらくスマートフォンによって変わるのは、「入り口だけ」なのです。ぱっと見で分かりやすい画面構成とか、文字サイズ設定の初期値が高齢者に優しいものになっている*5とか、Androidならではのカスタマイズ性を犠牲にして初心者にとにかく使いやすい設定に倒しているとか。

しかし、これらはしょせん、補助輪です。いつかは「そんなものいらない」と思うようになる時が来る。そのときになったら機種変更しますか?数万円もするものを、数か月で?自分は上達しない?本当に?

それをわかった上で、それでもらくらくスマートフォンを買うのであれば、それはそれで良いと思います。ただし、外部の人やテレビや書籍などの情報を参考にするのは、やめたほうがいいと思います*6

他人と共同で何かすることもしないし、他人の発信する情報を受け取ってスマートフォン活用に活かすこともしない。そんな人だけがらくらくスマートフォンを買ってほしい。そう思います。


あなたは本当に、らくらくスマートフォンを選びますか?「自分は高齢者だから」、「スマートフォンとかよくわからないから」という人にはあらためて、これを自問して欲しいところです。

*1:ちなみにドコモユーザーの方が「え、でも買ったら割引プランには入れたよ?」と言っていたのですが、恐らくこれのことでしょうね。選んだ機種がらくらくスマートフォンかどうかは関係ありません:シニアはじめてスマホ割 | キャンペーン | NTTドコモ

*2:まあ、わたしは免許持ってないので車のこともバイクのことも詳しくは知らないんですが

*3:まあ、モバイルサイトを見ればいいのですが、「Youtubeはアプリで見るもの」という発想しかない人がWebサイトまでたどり着くのは実際かなり困難です

*4:正確に理解できているかどうかはともかくとして

*5:他のスマートフォンでも設定さえ変えれば同じ文字サイズにはできます

*6:らくらくスマートフォン専用書籍のものを除く