高見知英のかいはつにっし(β)

高見知英のアプリケーション開発日誌 のほか、地域活動などの活動報告ブログ。

NPOでのPower Automate活用事例

このブログは今年やったノーコードやってみた記事 Advent Calendar 2022の13日目の記事です。

adventar.org

さて、今回はノーコードに関してということで、SIDE BEACH CITY.でのノーコードの活用事例について話してみようと思います。

SIDE BEACH CITY.では、団体内での連絡にMicrosoft Teamsを使っています。

こちらはMicrosoft 365 Business Basic 非営利団体職員向けバージョンを契約して使用。Officeアプリこそありませんが、Web上では基本的にMicrosoft 365 Businessと同じレベルのことができます。

www.microsoft.com

ということでPower Automateも立派に使うことができます。SIDE BEACH CITY.ではPower Automatorかなり活用しており、結構たくさんのフローが存在します。

実際に運用しているフローについて

SIDE BEACH CITY.で現在使用しているフローは、ざっくり次のようなものがあります。

  • 時間を契機として自動的に動作するもの
    • SBCast. / SBC.オープンマイクの予定を自分のタスクリストに追加する
    • メールマガジンのひな形を作成する
    • 理事向け会員一覧を一般会員向け会員一覧に変換する(電話番号や住所などの情報を削除する)
  • Webサービスでのアクションを契機として自動的に動作するもの
    • 問い合わせ窓口にメールが来たときに担当者限定Teamsチャネルにメールを転送する
    • SIDE BEACH CITY.のYouTubeチャンネルに動画がアップロードされたらTwitterFacebookページに通知する
    • ブログが更新されたら〃
    • Web上のお問い合わせフォームに入力があったら、それをお問い合わせとして共有メールボックスとTeamsチャネルに送信する
  • 手動で動作するもの
    • SBCast.のゲスト決定後、各種作業工程をタスクリストに登録する
    • オンラインミーティングの日程を入力すると、会議の予定を作成、OneNoteに議事録を作成する
    • SBC.オープンマイク告知記事用のテンプレートを作成する
    • メールマガジンを会員やエージェントに送付する

あらためて挙げてみたら結構ありますね。

毎月頭・毎日朝自動的に動作するもの、メールの着信やブログの更新など何らかの契機で動作するもの、手動で動かすものなど色々と用意しています。

チーム運営などに使っているものも結構ありますが、こうやってみると個人向けに作っているもののかなり多いかなという感じですね。

実際に動いているフローの例

全部を紹介すると長くなるので、ここではとりあえず一つだけフローお見せします。

Code of Conduct対応フロー

こちらは専用窓口にメールが届いたら、そのメールに定型文で返信をし、Teamsの対応部門チームにメッセージを転送するというフロー。

メールボックスへのメール受信をトリガーとして、該当チームへの転送処理と、定型文メールの返信を行っています*1

Power Automateはもっと複雑なフローも書くことができますので一概には言えませんが、仕組みさえわかればこれぐらいのフローであれば比較的短時間で作ることができるというのが、Power Automateの強いところ。

NPOとPower Automate

Power AutomateはIFTTTなどのWebサービスなどに比べるとフローを使ってアクションを自由に組み立てられる分ちょっと複雑で、NPOの職員に使えるかというとちょっと怪しいところはありますが、頑張って覚えても損はない水準のものなのかなというふうに思います。

なにより

  • 動作のための環境を用意する必要がない
  • 権限を割り振ることで複数人が使える
  • 外部サービスのAPI事情への対応が楽

というところが個人的には嬉しいかな。

動作のための環境を用意する必要がない

特に定期的に動作したり、外部のWebサービスと連携をするツールを作る場合、それが動作するためのサーバーをどこかに用意しなければいけないということが結構あったりします。

ただ、 Power Automateを使った場合、そういうようなものを用意する必要がない。

個人のように自分が動いてないとき(PCが動いてないとき)には動かなくてもいいわけではなく、企業のようにサーバーを用意できるほど潤沢な予算があるわけでもないNPOには、かなり便利な存在なのではないかなと思います。

権限を割り振ることで複数人が使える

また、権限を割り振りさえすれば複数人が使えるというのもPower Automateの利点。

Power Automateのフローには、それぞれ所有者や実行可能者を設定することができ、複数人でフローを使ったり編集をしたりすることが容易にできます。

Power Automateフローの権限管理

企業のように組織のピラミッド構造がしっかりできているわけでもなく、一人に作業が集中することがリスクにつながりやすいNPOではこのような仕組みは非常にありがたいのかなと思います。

といっても、SIDE BEACH CITY.では結局ほぼ全ての管理が自分に回ってきているわけではありますが。

外部サービスのAPI事情への対応が楽

TwitterFacebookなどの外部サービスを連携する場合、それらのAPI仕様との調整もなかなか大変です。

例えばAPIの仕様変更に対応したり、 API利用手順の変更に対応したり。

そういった時、 ある種APIとの連結をすべてMicrosoftに丸投げできるというのは結構なメリットだと思っています。

Power Automateはたしかに複雑 だけど

確かにほかのサービスに比べて、Power Automateは複雑。

ノーコードの割にできることも多いしコードも長くなりがちなので「ええいコードを書かせろ」と思ってしまう事も多い。

ただ、コードを書いて環境も用意できるほどのスキルレベルもなく、かといってインターネットツールがろくに使えないほどスキルが低いわけでもない。そんなNPOにはこれほどちょうどいいツールもないのかなというふうに思っています。

もちろんちゃんと使いこなすにはプログラミング的な感覚も必要ですし、ある程度の素養も必要でしょう。

ただ、個人でプログラムができてもWebサービスとの連携ツールを作れるほどではない みたいなスキルの持ち主であれば、がんばって申請書を書いて、非営利団体向けMicrosoft 365の資格を取得して使う価値もあるのではないかなあ と。

Power Automateを使うだけであれば個人のアカウント取得もできましすね*2

なお、SIDE BEACH CITY.へのコミットを条件としたものではありますが、SIDE BEACH CITY.のエージェントに入っていただければ無料でSIDE BEACH CITY.の環境を使っていただくことも可能です。

もしご興味おありの方はぜひどうぞ、高見知英までご連絡ください。

*1:一つ目のアクションに関数が入っていますが、こちらはメールを受信したときの返信先を設定しているだけで、処理が大きく変わることはありません

*2:こちらでは承認などの一部処理ができませんので、あくまで個人利用専用にはなりますが