今日はこちらから
みなさまUWSCというソフトはご存知でしょうか。PCの操作を記録し、再生するというマクロツールで、ほとんどの機能は無料、一部が有料のソフトとして販売されておりました*1。
マクロツールとしての出来はさることながら組込みされたスクリプトが非常に強力で、ウィンドウの表示待ちやそこに表示されている内容の取得、ブラウザの自動操縦など、プログラマなら自力でも出来なくはないが非常に面倒くさいコーディングを必要とすることをとても簡単に実現できるという、非常に優秀なスクリプトでした。
で、このUWSC、とんと更新がなされなくなってしまい、どうしたものかと思っておりました。
ちょうど.NETラボで話そうとしたときも、結局直前にサイトにアクセスできなくなっていることに気付き、困惑したことを記事に書いていますね。
このソフト、ひさびさに情報を探してみると、どうも作者さんはもう亡くなられているらしく。
当時から噂は出ていましたが、ひとまず「ネット上ではこれ以上探りようがない」レベルの情報が出たのかな と思っています。
いちおう互換のツールが有志の方によって開発されているようですが、それほど開発は活発ではない模様。
まあ実際、HTMLベースやUWPなど様々な手法のアプリがある中、UWSCのようなツールだけでは情報が入手できないアプリも増えてきており、もはやスクリプトで自動化しよう という思想は時代遅れなのかもしれません。
Webベースのアプリであればそれこそ「下手にアプリを操作しようと思わずにWeb APIで情報を取れ」という話でしょうし。
ネット社会における生存証明(死亡判定)の難しさ
そこで思ったのは、ネットにおいて、この人は今生きている(死んでいる)ということを知るというのが、とても難しいということです。
Twitterなどだとときどきご家族の方が故人のTwitterアカウントでそれを知らせているのを見かけることがありますし、最近のWebサービスにはアカウント保有者が亡くなったときのポリシーが規定されているものも少なくありません。
しかし、それらは家族の中にそれらサービスが扱える人がいて、その情報をネットに伝える人がいることが前提となります。
そもそもPCスキルがある人が一家に本人しかいないという場合だってまだまだ珍しくないでしょうし、Twitterみたいにどのようなタイプの人でも知っているものならともかく、pixivとか、Githubとか、一部の分野の人しか存在を知らないようなサービスだと、作者が亡くなっていてもその情報が届かない ということは珍しくなさそうです。
いちおうわたしはそんなこともあろうかと、ネットで活動をしている人に向けて年賀状を送るなどしているので、ある程度情報は拡散しやすいものだと思っていますが、それでも届かない範囲は多いのではないかなあ という感じがします。
せめて「消息不明」で終わるのは避けたい
個人的には「死後の恥は掻き捨て」というポリシーなので、死後データが残るぶんには何の問題もないのですが、死後データの作者が「消息不明」になることだけは勘弁願いたいなあ と思ってしまいます。
今回のように家族や身の回りに詳しい人があったり、商業的なやりとりがあれば気付くこともあるかと思いますが、とくに個人のイラストやOSSなどだと、いつの間にか作者がいなくなってしまう ということもありそうだなあ と。
少なくともなんらかの方法で、作者の生死だけは伝えたい、データの原作者が行方不明になってしまうのだけは嫌だな。
今回のUWSCの話を見てあらためて思いました。
*1:今も公開されていますが、有料版は購入できません(仮にできたとしてもライセンスキーが配布されません)