高見知英のかいはつにっし(β)

高見知英のアプリケーション開発日誌 のほか、地域活動などの活動報告ブログ。

技術に疎い人の気持ち

ずいぶん昔の内容になってはしまうのですが。

3月4日のオープンソースカンファレンスの感想記事で、こんなのを見つけた。

最後に一言.書こうか悩みましたが,Office2007のインタフェースで業務に支障が出るというのは正直考えられないです.リボンインタフェースは評価されていますし,自分自身ももうExcel2003のインタフェースには戻れないほどその便利さを体感しています.少し始めに戸惑うだけなので,むしろ目の前の変化に順応することができないだけという声も少なからずあると思います.

OSC2011(Tokyo/Spring)レビュー - kakku blog

わたしはこのセミナーを聞いていないけど、これはたぶん、技術よりな人(聴講者側)と技術よりじゃない人(県庁職員側)の考え方の違いにあるんじゃないかと思った。

山形県庁の人がどのような人かはわたしは知らないけど、たぶんPCの技術・操作に疎い人が多かったんじゃないかなと思う。
たしかにブログの記事の通りリボンインタフェースは悪くないし、わたしだって便利には使ってる。けど、いままでのインタフェースと大幅に違うのは確かなわけで。おそらく山形県庁の人たちにはその違いが受け入れられなかったのだと思う。


わたしは最近思っているのですが、こういったイベントによく行くいわゆる「技術に近い人」と、そうでない人(=技術に疎い人)の感覚というのは恐ろしいほどに違う。

最近横浜市内で技術に疎い人と会ったり、共同作業をしたりしてとくに思う。こういうことを実際に相手の気持ちになって考えるというのはほんとうに難しいから、こういう話は、相手の事情を考えた上で言わないとほんとうに的はずれになってしまうんじゃないかなあ と思いました。


ことに、IT系に関しては、そういう「技術に疎い人の気持ち」を理解するのが不得意な人や団体が多い気がする。
たとえばここでいうMicrosoftなんか。リボンインタフェースはたしかにいいインタフェースだと思うけど、技術に疎い人がそのインタフェースに馴染めるかというと、たぶん今回みたいに馴染めない例も多かったと思う(とくにOS単位ですべてのアプリケーションのUIが変わったならともかく、変わったのはOfficeとVisualStudioとMSPaintとWordpadだけで、他のアプリケーションはそのままなのだからなおのことです)。ここで大事なのは「違うこと」であり、「使いやすいこと」ではない。
たぶんGoogleもそうだろう。Androidの一見3.0が最新版かと思いきや、スマートフォンとしての最新版は2.3であるという状況は、たぶんGoogle自体やその身の回りの人がバージョン番号のような些末な違いは気にしない技術よりな人ばかりだったからこそだと思います(でも、実際この辺で紛らわしいと思う人はいると思うし、実際職場でもそんな話題が出た)。

そんなこと言ったら技術は進歩出来ない?そうかもしれません。しかし、技術というのは道具である以上、ユーザー層が受け容れがたい「進歩」は意味ないんじゃないか と思います。とくにMicrosoft Officeみたいに技術に疎いユーザーから技術に強いユーザーまで幅広い人に使われるアプリケーションは。
この辺でとても優秀なのは。一般的な携帯電話――いわゆるフィーチャーフォンだと思う。たぶん開発者側としてもいろいろ変えたかったものもあっただろうけど、あえて標準的な構造を変えないでいた。まあ、それでいて機能だけは増えていくからああゴミゴミした構成にはなってしまいましたが*1


スマートフォンがごくごく一般の人にも流行りだしたり、今の横浜のように地域の活性化にIT技術を押し出すような活動があったり、いままでの「IT技術に疎い人」がIT技術に触れる機会が増えてきた。だからこそ、技術よりな人たちも、いままで以上に技術に疎い人の気持ちを考えなくちゃいけなくなってきたんじゃないかなあと思います。


まあ、逆を言えばわたしみたいに大して専門知識がないような人でも、技術の話ができて感心される場がそれなりに出来た という話でもあるんですけどね。

*1:まあ、だからこそAndroidのような全く異質のものが受け容れられたのもあるのかもしれません