高見知英のかいはつにっし(β)

高見知英のアプリケーション開発日誌 のほか、地域活動などの活動報告ブログ。

ITコミュニティの少ない土地でコミュニティ活動をしたいという人へ

このブログはコミュニティ•カンファレンス運営 Advent Calendar 2019 - Adventarの17日目のブログです。

17日目のブログはコミュニティ・カンファレンスの運営について。

正直登録はしたもののなにを書いたらいいのやら のまま当日が来てしまったので、とりあえず今回は、コミュニティの少ない土地でコミュニティ活動したいという人に向けた言葉を書きます。

まあ、このカレンダーから記事を辿ってくるということは、たいていの場合ITコミュニティのことを読みたいと思っていると思いますので、今回はITコミュニティ限定で。

とはいえある程度は「自分のジャンルの活動がそばになかった場合」に共通して言えることなのかもしれません。

「二人揃えば勉強会だ」とはいうけれど

まだこんな言葉があるのかどうかは分かりませんが、昔ITコミュニティ界隈でこういう言葉を聞いたことがあります。

ただ実際それができるのはよほどとくに決まったプログラムがないもくもく会くらいなもので、それ以外のプログラムでは二人いれば勉強会としてまともに動けるかというと、そんなことはない。

スタッフはどうするの?スピーチする人はどうするの?参加人数が集まらなかったり、参加者がカテゴリー違いの人で全く内容が理解されなかったりしたらどうするの?もし人が集まらなかったとして、スピーチに来てくれた人たちはどういう思いでしゃべればいいの?胃が痛くなります。

なので、「二人揃えば勉強会」だなんてのは幻想だと思っています。とてもではないけれどそんなことはできない。

もくもく会ベースだったら万が一参加者が自分一人でも特に困らないですが、今度は会場を貸してくれた方に申し訳が立たない。基本的に二人で勉強会はやるべきではないんだと思います。

運営で無茶をしすぎるとどうなる?

運営で無茶をしすぎると、結果的に本業を圧迫することになります。

会場の方との連絡・調整、(スピーチありイベントの場合)スピーカーさんの確保、イベント自体の告知、思った以上にやることがたくさんあります。

本業でミスが出るようになったり、仕事が手につかなくなったり、寝不足になったりと、いいことがありません。

結果、仕事を続けていけなくなったり、業績が落ちたりしても、当然誰も責任は取ってくれないのです。

東京などで行われているIT勉強会を見るとそこまで大変ではないように見えますが、そんなことはありません。あれは複数人で作業分担できているから一人一人の作業負荷が軽いだけなのです。

いくら「IT勉強会を開きたい」と思っても、「自分と同じ意志の人が地元にもう一人くらいしかいない」という状況では、IT勉強会をやるべきではないと思います。

どうしてもやりたいとしても、よほど理解のある会場があればもくもく会を定期開催する くらいでしょう。

たとえば地元のコミュニティカフェや区民センターなど、電源や無線があって、会場の方にも理解してもらえる というような場所は、探せば案外あります。

もちろん、万が一参加者が自分だけになるかもしれないくらいの可能性は説明しておいた方がいいかもしれませんが。

とはいえそれでも開催したい そんなときは

とはいえそれでも、中規模以上のIT勉強会を開催したい。そんな思いがあるという方もいると思います。

わたしもそれで、日本Androidの会横須賀支部などをたちあげたり、現在もまちづくりエージェント SIDE BEACH CITY.でITイベントを開催したりしているわけですので。

ただ、そう思っても、イベント開催は簡単なことではないですので、軽はずみな行動は厳禁です。

不安定な状態でイベントを立ち上げてしまうと、周り(特に地元の産業振興財団など)に期待されるだけされてしまうので、負担だけが増えます。まずは慎重に、小規模にはじめたほうがいいでしょう。

最低でも5人*1

自分と同じくIT勉強会に興味がある という人で、可能なら他のIT勉強会に参加した経験があって、運営がなんとなくでもいいので分かってる人。

そんな人が5人くらいあつまるまでは、もくもく会とか、オンラインイベントとか、そういう開催負荷が可能な限り少ないもので我慢した方が良いと思います。

土壌がない場所でのコミュニティづくりは、それくらい慎重にやるべきなのかな と思っています。

ITコミュニティ文化のない土地でのイベント開催は、地元と力を合わせることが必須。

ITコミュニティ文化がない場所でのイベント開催は、地元と力を合わせることが必須になります。

もちろんもくもく会レベルであれば、近くのコワーキングスペースとか、ルノアールのようなカフェとか、使える場所はあるかもしれません。

しかし、ひょっとしたら参加者がいないかもしれないことを考えると、なるべく費用負担は抑えておきたいものです。

そのため、地元の地区センターとか、コミュニティカフェとか、そういう場所の人と仲良くなり、時々会場を貸してもらうなど、地域の人達と密接に関わることが必要になってきます。

地区にもよるようですが、このような場所は非常に安価であったり、ワンオーダーしてくれれば無料であったりと、費用負担がとても少ないことがあります。

まずはそのような場所を探してみるのも一つの手だと思います*2

地元の人達とも話し、もしちょっとでもこちらに興味があるようであれば、仲間に引き入れてしまう というのも手かもしれません。

世の中図書館司書とか地理学とか、いわゆるガチガチの文系先攻の学生さんなどでも、案外プログラミングにに興味があったりする人はいるものです。

とくにITと違い、衣食住にまつわるコミュニティはどこの自治体にも必ずあるものです。

そのような場所にもし関われる場所があるのなら、関わってみるのも良いでしょう。

ただし、慎重に。こちらがあまりに近しい人だと思われると、パソコンの相談を無料で受けさせられたり、無理難題を突きつけられたりすることがあるかもしれません。

これからITコミュニティをつくろう と思う人へ

書こうと思えばいくらでも続けられそうですが、記事の都合も時間の都合もあるのでこれくらいとして。

これからITコミュニティをつくろう と思う人へ。わたし自身はそれをとても尊いことだと思っています。

ITというのは一見土地に関係なくまんべんなく情報が手に入る、地域性のない技術分野だと思われがちですが、その実「実際に誰かに会わないと分からないこと」「実際にプロに会って聞かないと分からないこと」「実際に目で見て体感しないと分からないこと」が多く、非常に属地域性の強い技術分野だと思っています。

ITコミュニティというのは結構あるようで、実は意外と足りておらず、自分にあうコミュニティがないからと尻込みしている人は、たぶんかなりいるんじゃないかなあ と思っています(横浜開催のわたしの勉強会や講座に、東京から人が来たりすることがある というのがその証拠なのかもしれないな と)。

ただ、残念ながらそのような人に対する支援の仕組みは非常に少ない。

以前どこかで、「コミュニティビンボー*3」という言葉を聞いたことがありますが、そのような貧乏が存在する状況は未だ変わっていない と思います。

だからこそ、わたしはまちづくりエージェント SIDE BEACH CITY.として、公私ともにできるだけの支援をしていきたいと思いますし、そのような方への情報提供も惜しまないようにしたいと思っています。

ただ、どんなに支援しても、コミュニティの核となる人たちがしっかりしていなければ、どうしようもありません。

まずは着実に仲間を集め、足下をしっかりし、公私ともに失敗しないコミュニティを作ってほしい と思っています。

*1:けっこう微妙なところではありますが、さすがに2,3人では少なすぎるし誰かが欠席したときの心理的・肉体的負担が大きすぎます。10人くらいいれば理想ですが、そもそも集める前に失速してしまいます

*2:わたしは、以前横浜18区すべての区民センターを巡って状況を調査したり、ぐるなびで「個室あり・予約可能」の場所に片っ端から電話確認・訪問確認するなんてこともやりました

*3:コミュニティの開催に関わる費用や設備支出・それによる仕事時間の減少などでお金が稼げない