高見知英のかいはつにっし(β)

高見知英のアプリケーション開発日誌 のほか、地域活動などの活動報告ブログ。

おとなむけプログラミングワークショップにScratchを使った話し。

このブログは、Scratch Advent Calendar 2015 - Adventarの13日目の記事です。

さて、13日目はScratchについて。大人向けプログラミングワークショップにScratchを使った話について、書きます。


このブログにはすでに(何度か)書いていますが、今年6月、ふらっとステーション・とつかにて、プログラミングワークショップを開催しました。

blog.onpu-tamago.net

このプログラミングワークショップでは、地域の方にプログラミングとは何か、プログラミングでなにができるのかを知ってもらうことを目的としたものでした。Scratchを使用し、Scratchでなにができるのか、Scratchで行ったことは、実際のプログラミングとどうつながっていくのか、といった基本的な話を行いました。

当日の雰囲気

当日参加してくださった方は、以下のような感じ。

  • 高齢者:5人(うちふらっとパソコン道場などでふらっとの常連の人が2人)
  • 親子:1組
  • その他:1人

当日の様子については、当日のブログにも書いていますので、ご覧ください。

当日は、スタッフとしてまちづくりエージェントSIDE BEACH CITY.の人や、学校法人岩崎学園情報科学専門学校横浜西口校の生徒さんも参加。その方々のおかげもあり、とても盛況に終わりました。

さて。Scratchを大人向けワークショップで利用して

さて今回のブログのお題はそういうものではありません。Scratchを大人向けのワークショップに使った理由と、その結果、考えられることについて。

大人向けワークショップに、Scratchを使うということ

いつもこのブログをお読みになっている方ならわかるかと思いますが、地域コミュニティに多く関わるような方の多くは、プログラミングというものを全く知りません。それどころか、パソコンを使ってなに不自由なく情報受信・発信が行える という人も非常に少なく、たとえばほかの言語を使ってワークショップを行う ということは、まず無理です。

また、今回の課題として、プログラミングを使ってどんな「動き」をパソコンにさせることができるのか ということがありました。そうなると、CUIアプリのように「ぱっと見で結果がわかりにくいもの」を使うのはあり得ません。すると、結果的にScratchを使う以外の選択肢がなかった。

Scratchを使ったことの結果

結果としては、なかなかうまく行ったと思います。とくに結果もコードも画面上に表示されるものですので、スタッフも本人も、なにがわからないのか、どうすればいいのかがわかりやすい。
また、プログラムコードが存在しないので、構文エラーやタイプミスなどの問題に悩まされないというのもあります。 結果として、Scratchを使ったのは成功だったと思う。

その結果で、考えられること

今回のプログラミングワークショップについて、ふらっとステーション・とつかにて、先日「他にも興味がある人がいる」というお話を聞きました。恐らくですが、パソコンでなにができるのか、プログラミングとは何なのか、全くわからない。でも、知りたい という人は、少なくないのだと思います。とくにプログラミングは、最近では中学の授業で必修となったようですし、親御さんも知らないままで通り過ぎる というわけにもいかないと思ったのかもしれません。

そのためにも、おそらくこのようなプログラミングワークショップは、今でこそ必要なものなんじゃないかな と。まあ、貸し出し用のパソコンを用意するなどなかなかすぐにできるようなものではないと思いますが。

その他にも、Scratchを展開してみたかった場所。

今回のようにScratchを使ったほうがよかったなー と思っていること、実はもう一つあります。それは、会社の新人研修です。

以前とある場所で、会社員一年生に向けたプログラミング教室をやったのですが、参加者は今までプログラミングのプの字も知らなかったような文系の人たちで、プログラム言語はおろか、アルゴリズムなんてまったくわかってなかった。そういう人たちに、ごくごく限られた時間で形どおりにプログラミングを教えるというのは、心苦しくて仕方がなかったです。

そういうような人に、プログラミングの概念とか、アルゴリズムとか、そういうプログラミングの基礎を教えるのに、Scratchは有効ではなかったかな と。

ただ、このままでは子ども向けすぎますし、実用性がなさ過ぎます。だからScratchのままではちょっと使いづらいかな と、思いますが。

プログラミングを勉強する必要があるのは、子どもだけじゃないよね?

この間、こんな本を読みました。

[ママとパパのための]こどもプログラミング読本 ――「未来をつくる力」を育てる

[ママとパパのための]こどもプログラミング読本 ――「未来をつくる力」を育てる

この本を読んでいると、何となくですが、「プログラミングを教えるべきは、子どもだけではない」ということに、なんとなく著者や関係者のみなさん気付いているんじゃないかな- なんて思ったりします。

ただそれはなかなか難しい。大人向けにワークショップをやるって、そんなに簡単じゃないんですよね。大人だからこそ中途半端なものでは満足してくれなかったり、しっかりとした何かを求めていたりする。6月ふらっとステーション・とつかでやったワークショップも、地域のコミュニティカフェという「完全な物を求められない場」だからこそこれでよかったのであって、たとえばどこぞの研修室を借り切って有償でなにかやるようなイベントでは、許されなかったのだろうと思います。ふらっとステーション・とつかの姿勢も変わりつつある今、次やるワークショップでは6月にはなかった何かを提供しなければいけないかもしれません。

だからたぶん、大人向けのワークショップをやるのなら、子ども向けのワークショップにはない「何か」を用意する必要があるんだと思います。その「何か」を用意できる用意がどこにも無かったから、今このようなワークショップはないのかな と。


ただ、だからといって大人向けにプログラミングの手法や、それによりできることを伝えるワークショップが不要なのかというと、そんなことはないと思います。自分たちまちづくりエージェントSIDE BEACH CITY.として、みなさんでも同じようなワークショップが行えるような仕組み作りを行っていきたいな と。

ということで

ということで、自分のScratchワークショップ感想でした。Scratchは、学習用環境としてはなかなか優秀な環境だと思います。ただ、子ども向けすぎて、それがぴったりくるような場所以外には展開しづらい。だからそろそろ、Scratchではない何かが必要になるのかな と思います。