昨日11月6日(木)は、パシフィコ横浜で行われた図書館総合展に行ってきました。図書館で使う書棚や書籍保管のための機器、入館管理や書籍のデジタル化などのソリューションを展開する企業による展示会で、毎年この時期に開催されています。
自分は図書館と直接関係のある立場ではないですが、ここにはデジタルサイネージやデジタルテーブルなど面白いデジタル機器も展示されているので、毎年参加しています。まあ、場所もそんなに遠くないですし。
気になったポイント
とりあえず、今回見て面白かったポイントをいくつか。
電子書籍の貸し出し
電子書籍の貸し出しシステムについては、結構色々な会社が検討をしているようでした。しかし、多くの会社はWeb上での閲覧システムを構築しており、オフライン環境では読めないという課題があった模様。一社だけ専用アプリでのデータ閲覧の仕組みを用意しているところが有り、そこはちょっと興味あったかな。
自分が電子書籍貸し出しシステムを考えるとなると、まずはコミュニティカフェなどにいる地域の人のことを考えてしまうのですが、ああいう人に向けて発信するとなると、まずインターネットがない環境で読めることや、せめてブラウザでなく、「本を読むときにはこのアプリを使う」というものがわかるものが欲しいなと思ったもので。
今回提案をしていた会社はいずれもそういうデジタルツールに詳しくない人、デジタルツールの利用環境に恵まれていない人向けの情報配信までは、考えていないように思えました。
書籍のデジタル化
書籍のデジタル化については、いろいろなソリューションを見ることができました。見開きにした本をスキャンするブックスキャナが多かったのですが、土台の左右にバネが仕込まれており、ページ数にあわせて台座を押し下げて使えるブックスキャナが展示されていて、あれは面白かったなあ。
無線LANシート
これは無線LANの電波の流れを制御して、シートの前50cm程度でしか使えない電波を発信するシート。卓上に置いてあるときだけインターネット通信ができるタブレットなどを実現できるというもの。通信場所を制限するという用途の他にも、無線LANの競合抑止にもなるので、イベント会場のような無線LANの競合が激しい場所でも使えるという点を売りにしていました。
タブレットなどの無線LANでしかインターネットができない機器も少なくないですし、これは結構いろいろな分野で応用が利きそう。
デジタルテーブル
そしてなんといっても一番興味を持ったのがこれ。テーブルの真ん中にWindows OSのディスプレイが埋め込まれており、さまざまなアプリを表示することができます。
UIも結構練られていて、好きな写真やプレゼン資料を表示したり、それを回転、拡大させたり、一つのブックにまとめて一覧表示したりと、本物の机のように操作することができます。そして、表示させたファイルを脇にあるディスプレイに表示させることも。
ターゲットとしては一般の図書館と言うより、企業や大学などで共同作業を行うための場所 というイメージでしたが、ああいうものこそ図書館の片隅にあって、地域に住む人が気軽に話し合いに使えるようになってればいいなあ などと思いました。そうすれば、いろんな人が集まって情報交換・共同作業が出来るスペースになるのになあ と。
わたしが考える図書館
そういえばこのイベントがあると、大抵「図書館ってなんだろうな」というコメントがTwitterやFacebookに出てくる。
個人的には、図書館は「地域の情報が集まり、必要に応じて情報の持ち主と交流できる場所」だと思っています。特にIT技術など情報の流れが速い分野では、既存書籍ではまかなえない情報が多く、情報収集のための場所としてはあまり使えません。もちろん、昔から語られるような知識ベースというのはあるので、その場合は図書館の情報を参照できますが、そこまですることはあまりない感じ。そもそも自分はここ数年自著の献本や、その貸し出し状況チェック以外の目的で図書館に行ったことはない。
だからこそ、例えば著者が中心となるイベントなどを開催したり、ここで著者の人と話ができる 書籍を軸にしたイベントを開催できるなど、そういうしくみが図書館に欲しいな と思っています。
だからこそ、今回見たデジタルテーブルやら、電子書籍の貸し出しなど、もっとデジタルなものを活用したスペースになってくれるといいな。ただ、自宅の近所にある南図書館や、浜小学校のそばにある磯子図書館を見た感じ、そこまでのツール活用はない模様。これは、横浜市立図書館がそうなのか、図書館という場所がそうなのかは、分かりませんが。